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エアリーフローラインタビュー

File 01:開発者

村濱 稔 さん
(石川県農林総合研究センター 専門研究員)
■「石川県の花」をつくりたい

富山県の花というと何を思い浮かべるでしょうか。おそらく多くの人が「チューリップ」と答えると思います。同じように、福井県なら「水仙」、新潟県なら 「ユリ」と、認知度や生産量において、それぞれ「県の花」と呼べるものがあります。 ところが石川にはそのような花はありませんでした。そこで「石川県の花」と呼べるような特産品をつくり、花きの生産・流通業の方々を支援しようと始まった のが、フリージアの品種開発でした。 チューリップ、水仙、ユリはどれも球根種です。これは偶然ではなく、冬に雪が降り日照時間が短くても花に色がつきやすいことから、北陸での栽培に適してい るのです。フリージアも同じく球根種であること、そして日本での品種開発の例が少なかったことから、「石川県の花」としての条件を満たしていました。
(写真:最初に開発されたパープルの「エアリーフローラ」)

■花ごとの特性を見極める

フリージアは濃い黄色や赤といった原色系が中心だったため、県産フリージアの独自性として、パステルカラーの品種開発をめざすことになりました。ただ国内での栽培実績が少なかったため、本当に芽が出るのか、十分な種が取れるようになるのか、分からないことばかりでした。
新品種は「交配」によってつくります。これは色が異なる花のあいだで受粉させ、その中間色を出現させるという方法で、絵の具を混ぜて新しい色をつくる感覚に似ています。難しいのは、交配して種をつくっても、その一つひとつに"個性"があること。人間でも同じ親から生まれた兄弟や姉妹が一人ひとり違うように、花びらの色・形・大きさや、葉の形、茎の姿勢などが少しずつ異なるのです。
種をまくと1~2年で花が咲くので、そうすると球根を増殖します。これはいわばクローンのようなもので、元の球根と全く同じ花を咲かせます。そうして球根ごとの特性を見極め、さらに交配を重ねることで、理想の色や形の花に近づけていきました。
(写真:花芽の状態を顕微鏡で確認)

■人々の想いを込めて

最初に開発に成功したのは、日本人好みである浅紫色をした花でした。花色が濃い品種と、中間色だけれど草姿が悪い品種を交配し、淡く美しい紫で草姿も優れた品種を生み出すことができたのです。 この試作品を生産・流通の関係者に披露したところ好評で、「他の色もぜひ欲しい」という要望をいただきました。そこでさらに花色を増やすべく育種を継続。その過程で当初は想定していなかったビビッドなオレンジや赤の花色も生まれました。これは色が強すぎるかな、と思ったのですが、生花店の方から「いい色だ」と評価をいただき、残すことになりました。
いくらいい色の花ができても、それが研究センターのハウス内だけでは商品として成り立ちません。能登地方でも育つのか、海に近い砂地でも根付くのか、県内数ヶ所の農家で実際に栽培していただき、そのご意見を反映させながら育種に取り組みました。
このようにして協力をいただいた人数は述べ100人以上。多くの方々の想いが込められ、2012年、7色のカラーバリエーションにたどり着きました。育種開始から要した期間は8年、その間に撒いた種は約1万1千個、試した交配は約370通りに達していました。
(写真:球根を冷蔵する促成栽培にも取り組む)

■希望の花

その年の冬、この新種のフリージアの名称が公募によって「エアリーフローラ」に決まりました。とてもいい名前をいただいたと思っています。「旅立ちを祝う」というコンセプトも、春の花のイメージにぴったりですね。)
今は生産量を増やしながら、商業的な機会も増やせるよう開花時期に幅を持たせる研究を続けています。結婚式などで需要が多い白の花色など、カラーバリエーションも増やしていきたいと考えています。)
花言葉の「希望」そのままに、エアリーフローラが「石川県の花」として全国に認知され、県内の花き業界がどんどん元気になってくれることを願っています。
(写真:7種がイラストで描かれたリーフレット。イベント等で配布し認知度向上を図る)

【取材日 2014年1月9日】